2008/07/25 (Fri) お題消化

時間がないので、続きは後ほど。
結局テストなのに勉強しなかった。
もうやるきしないよ…

夜にまぎれて、静かな廊下をしずしずと歩く。
聞こえてくるのは微かな波音だけ。
分厚い高級絨毯がすべての音を吸い込んでいく。
何もかも寝静まって、黙する時刻。
女はひとり男のもとへと行く。

―今回のターゲットはこの男だ
―どんな手段でも構わん、消せ
―お前ならできるだろう、”音のない魚”

女は口を利かないため、組織ではそう呼ばれていた。
何も言わず静かに泳ぐ、魚。
外の世界を知らず、夢見ることもなく、ただただ海を泳ぎ続ける。
不平もない女はその腕も確かだった。
女は拳銃を好んだ。
音はもちろん消して。
ナイフより近づかなくて済むから。
女は警戒心も強かった。

カードキーを使ってスイートルームの扉を開ける。
男は眠っているはずだった。
ルームサービスに紛れさせた秘薬のために。
それが―どういうことだろう。
「こんばんわ、お嬢さん」
男は椅子に腰かけて女に微笑みかけたのだった。
反射的に撃とうとするが、男は片手を挙げてそれを制した。
「まぁ待ちたまえ。少しくらい話をしようじゃないか。今夜はほら、いい月だよ」
「…」
男は椅子から立ち上がり、窓辺へと歩む。
窓の向こうに広がる海は、暗黒。
月影が照らす波面だけ、白々と染められている。
「思ってたよりは早かったね」